都会の人は冷たい? それは傍観者効果かも  

 人混みのなかで突然具合が悪くなってしまったらどうしますか?

 

「人がたくさんいるから誰か助けてくれるだろう。」

普通はそう思いますよね。

 

しかし、そこには思わぬ落とし穴があります。

人がたくさんいるからと言って助けてもらえるとは限らないのです。

 

この現象は傍観者効果*1と呼ばれています。

今回は、そんな「周囲の人の数が多いほど助けられる比率が低い」傍観者効果という現象についてご紹介します。

 

【目次】

 

実際に起こった「被害者が見捨てられた」事件

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傍観者効果の研究のきっかけになった事件があります。

ニューヨーク在住の会社員の女性が、深夜に仕事からの帰宅中、一人の暴漢に襲われ亡くなってしまった痛ましい事件です。

これは殺された女性の名前をとって、キティ・ジェノビーズ事件と呼ばれています。

  

この事件の大きな特徴は、事件に気づいている人が大勢いたにもかかわらず、だれも助けようとせず、警察に通報すらしなかったということです。

 

キティさんが襲われたのは38人もの住人が住んでいるアパートの側で、アパートの住人の中には彼女の悲鳴を聞いて窓から顔を出した人もいたようです。

 

明らかに気づいていたのに誰も助けなかったこの事件は、人々に大きな衝撃を与えました。

 

この事件に疑問を持った研究者たちはこの現象を解き明かすべく、次のような実験を行いました*2

 

傍観者効果の発生に関する実験

 この実験では、実験者の女性が参加者にアンケートへの回答を依頼しました。

アンケート自体はただ回答してもらっているだけで、特に意味のないものです。

 

重要なのは実験の設定です。

参加者がアンケートに回答している最中、その女性はカーテンの向こうに移動します。

約4分後、その女性が本棚から本を取ろうとして椅子から落ちたような音や女性の悲鳴と呻き声のテープが1分ほど流れます。

それに対して何らかの救助行動に出るかどうかを測定します。

 

傍観者効果が起こるかどうかは周りに人がいるかどうかが重要です。

この実験では、このような4つの条件を設定しました。

【実験の条件】

  • 1人条件:一人で回答
  • 冷たい協力者条件:悲鳴が聞こえても回答を続ける「冷たい」回答者がいる(この回答者はサクラ)
  • 他人2人条件:互いに見知らぬ実験参加者が二人一緒に回答
  • 友人2人条件:友人同士の二人で回答

 

その結果がこちらです。

 

【結果】

1人条件=友人2人条件>他人2人条件>冷たい協力者条件

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「依頼と説得の心理学サイエンス社」をもとに作成

 

つまり、一人でいる場合や友人と2人でいる場合には、70%もの人が女性を助けようとしたのに対し、他人と2人でいる場合は40%、明らかに助けないそぶりをとってる人と2人でいる場合は7%しか助けに入らなかったのです*3

  

このような結果から研究者たちは

「周囲に人がいたのに」助けなかったのではなく、

「周囲に人がいたから」助けなかったのだと結論付けました。

 

傍観者効果を発生させる要因

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なぜ周りに人がいると助けることが抑制されるのでしょうか。

研究者たちは実験結果に基づいて次のように考えました*4

 

評価懸念

人の目を気にして、馬鹿げた行動や外れた行動はとりたくないと思うことを指します。

 

社会的影響

周囲にいる人たちが何の行動もとらないのをみて、「大したことはないだろう」と解釈してしまうことです。

周囲の人たちの無反応に影響されている状態です。

 

責任の分散

周囲に人がいることによって、援助することの責任意識が分散され、例え自分が援助しなくても「だれか援助するだろう」と考えてしまうことです。

 

傍観者効果への対策は「指名」

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では、この傍観者効果が起こらないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

 

対策としては特定の一人に助けを求めるなどが考えられます。

 

つまり、「誰か助けて!」ではなく「そこのあなた!助けて!」というように指名するということです。

 

これで責任が分散されるのを防ぎます。

 

まとめ

日本でも、目撃者が多数いながら犯罪に巻き込まれるようなケースはたくさん存在します。

いざというときの自衛論の一つとして覚えておいていただくといいと思います。

 

この記事は、この本を参考に作成しました。

気になる方はぜひ。

 

 

ではまた♪

*1:(ラタネ、ダーレー,1997)

*2:(ラタネとロディン,1969)

*3:他の実験(ダーレーとラタネ,1986)でも同様の傾向を示しており、路上で発作を起こしてしまった人に対する援助率は、周囲にいる人の数が多くなるほど低下することが指摘されています。

*4:(ラタネとダーレー,1997)